ひとこと
“会いたい”ってメールすればいいだけなのに
文字を変換して
また消して・・
携帯を放り投げては
ため息をつく・・
さっきからずっとこの調子
桐沢さんとはそう頻繁に会えないのは
分かっている・・
刑事という職業に誇りを持って仕事をしている桐沢さんは
本当に素敵で
人間としても尊敬してる
だから私の感情で困らせたくない
私は毎日こうやって携帯を握りしめている
(メールだけならいつでも大丈夫だよね・・)
私は思い切って送信ボタンを押した
(えいっ!!)
『ふぅ・・・やっと送信できたよー』
独り言のように呟く自分がおかしかった
それから返信はなくて・・
仕事中ならそれは当然で
携帯を見つめながらため息をつく
『はぁー・・しょうがないよね』
私の独り言は暗闇の部屋へ消えていき
今日も桐沢さんの温もりをおもいだして
一人眠りにつく・・
あなたが無事ならそれでいい
それは本心だけど
でもちょっと強がっている自分もいて
本当は寂しくて
だから夢の中では会いに来て
お願いだから・・
夜中、ふと目を覚ます・・
(だれ・・・?)
意識がはっきりしない私の瞳に映る影
『きりさわ、さん?』
『陽菜・・』
『どしたの?なんで・・・?』
『お前の顔を見に来たんだよ、それぐらいいいだろ?』
『嬉しい、でも私の部屋に来るなんて珍しいから・・あ、もしかしてメール見たから?ならごめんなさい』
『お前が謝る事じゃない、悪いな・・気を遣わせちまって』
『ううん・・もしかして仕事の途中なの?』
『まぁな、何かあったのか?』
『なんで?』
『メール・・なんか元気なかった気がしてな』
(嘘・・いつもと同じように送ったのに)
『そんなこと・・』
『無理すんな、話してみろ』
『大丈夫だよ?ただ会いたかったの・・抱き締めて欲しかった・・』
『お前には我慢させてばかりだな』
『違うよ!!本当に・・少しこうやって抱き締めてくれたから・・充電完了できた!!』
『陽菜・・』
『もう、そんな顔しないで?桐沢さんも充電する?』
桐沢さんが気にしないように
私は笑顔で腕を広げた
子どものように私の腕の中へ顔をうずめる桐沢さんが
可愛くて、そんな無防備な桐沢さんが愛おしくて
『ふふっ、甘えんぼさんですね』
『悪いか・・陽菜の匂いタマラナイな』
『んっ・・・ぁ・・』
『くそっ、そんな顔すんな・・我慢できねぇだろ』
『だ、だって・・』
『これ以上遅くなったら野村に怒られる』
『えぇ!!野村さん待たせてるの??』
『下にいる』
『やぁ・・んっ・・・だ、ダメだよ、はやく行かなきゃ』
『ヤバい』
『え?』
『今行ったらマズイ』
『な、なんで?』
『俺の顔ヤバくないか?お前に触れて興奮してオスの顔になってねぇか?』
『えぇぇぇ?な、なってないと思う・・け、ど・・?』
『ぜってぇアイツにからかわれるな』
『いや、でもこれ以上待たせたら余計に何か言われるんじゃ・・』
『あぁ、くそっ・・陽菜』
『んんっ・・はぁ・・あッ・・』
『悪いな、ゆっくり出来なくて』
『はぁ・・ううん・・』
『そんな色っぽい顔で見つめるな、俺の理性が』
『も、もう!!はやく行ってください!!!!』
『陽菜?』
『はい?』
『何かあったらメールか電話必ず入れてくれ、出れない事が多いけどちゃんと連絡するから』
『いいの?』
『当たり前だろ?――――愛してる』
『っ・・・・・』
最後に唇に触れた熱はとてもあたたかくて
それだけで桐沢さんの想いが全て伝わってきた
その後、桐沢さんにメールをした
迷うことなく押した送信ボタン
でも・・・変換してまた消すことは
恋してる証拠かも知れない
きっと又逢いたい理由を考えて・・
そんな時間も楽しめる私は
これからも桐沢さんに恋をする
あー!!!!!!
野村さんにからかわれる桐沢さん見たいなぁ(*'ω'*)
洋クンも男だねぇ~なんてね☆
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