★今だけは・・・*+☆+*――王子様のプロポーズ2 アスラン王子


 
『アスラン、そこにいたら掃除できないよ』
 
『え?ごめん』
 
『そこも邪魔なんだけど・・・』
 
『ええと、じゃあ何処にいれば』
 
『ベランダ?』
 
『陽菜の部屋は落ち着くけど狭いね』
 
(そりゃそうでしょう・・・狭いでしょうよ・・・ってなんでアスランはここにいるんだろう)
 
何故か頻繁に私の部屋へ遊びに来るアスラン
 
それは嬉しいけど、一国の王子様がこんな庶民の部屋にいるなんて
 
誰も思わないだろう
 
そもそも私がアスランと出会ったのだって偶然だし
 
私たち付き合ってるの!???
 
王子様と庶民・・・ないない!!!!
 
(はぁ・・・・自分で結論をだして落ち込むよ)
 
所詮アスランと私は住む世界が違うんだよね・・・
 
ここに来るのだってこんな小さな部屋と庶民の生活が珍しいだけだろうし
 
『ねぇ陽菜?』
 
(・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・)
 
『陽菜?』
 
急にアスランの顔が目の前に
 
『うわぁ!!!』
 
『さっきから呼んでるのに』
 
『ご、ごめん・・どうしたの?』
 
『もう掃除終わった?ベランダ暑いんだけど』
 
『あ!!ごめんね、もう終わったから』
 
『何か悩みでもあるの?』
 
(悩みというか・・・まさかアスランがいることが悩みだなんて言えないしな・・・)
 
『ううん、掃除も終わったしアスランはどうするの?』
 
『陽菜と一緒にいたい』
 
『でも・・・アスランはもう帰った方がいいんじゃない?』
 
『もしかして迷惑?』
 
(うっ・・・そんな子犬のような瞳で見つめないでよ~)
 
『迷惑じゃないよ・・・でもアスランと私は住む世界が違うって言うか』
 
『それ以上はダメだよ?』
 
そう言って人差し指で私の唇をそっと触れる
 
『アスラン?』
 
『俺は陽菜がどこかの姫でも庶民でも好きだよ』
 
『違うよ・・・アスランはただ、庶民の私が珍しいだけだよ』
 
『どうして決めるつけるの?俺のこと信じられない?』
 
『そうじゃないけど、だって』
 
『素直になって』
 
『素直に?』
 
『そう、陽菜の気持ちだけで考えてみて』
 
(私の気持ちだけ?)
 
『余分な考えは捨てて、陽菜の気持ちだけ聞かせて?』
 
『私の気持ちだけ?』
 
『そう』
 
(私は・・・)
 
『アスランが好き』
 
気が付けばそう口にしていた
 
『嬉しい』
 
そう言うとアスランはぎゅっと私を抱き締める
 
『わわっ』
 
勢い余って倒れたのは小さなベッドで
 
『アスラン・・・』
 
見上げたアスランの顔はただの男の人の顔で
 
『やっと正直になってくれたね』
 
『だって・・・』
 
『好きだよ、陽菜』
 
『んっ・・・私もアスランが好き』
 
小さなベッドがギシッと軋む
 
『陽菜が欲しい』
 
『アスラン・・・』
 
 
 
叶わないと思っていた恋
 
結ばれないと思っていたけど
 
アスランは一人の人間として私のことを見ていてくれた
 
庶民とか関係なく
 
だから今だけは
 
王子のアスランじゃなくて
 
ただの男の人・・
 
アスランとして私を愛して・・・
 
これから、きっとそれだけじゃないことは分かっているから
 
だから今だけは・・
 

 

陽菜love

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