★合鍵の使い方*+☆+*――特別捜査密着24時 桐沢洋



 何回目かのデートの時に渡された

桐沢さんの部屋の合鍵

いつでも使っていいって言われてたけど

今まで一度も使ったことがなかった

遠慮してるって言われればそうなのかも知れないけど

桐沢さんのプライベートにどこまで踏み込んでいいのか

分からなかった

彼女なんだからいいに決まってるんだろうけど・・

同じ職場で働いていることもあって変に気を遣ってしまっているのかも知れない

忙しいんじゃないか・・

私が待っていたらゆっくり休めないんじゃないか・・

そんなことを思っていた
 
 
 
 
 
最近忙しくて桐沢さんと会えない日が続いていた

2課へ戻ってきても桐沢さんが捜査で外出していたり

庁舎でもなかなか会うこともできなかった

そんな日が続いていたある日・・
 
 
 
『陽菜』

私の耳に聞こえてきたのはずっと会いたかった

ずっと話をしたかった大好きな人の声

『桐沢さん!!』

そう駆け寄る私の腕を掴んで近くの物陰へと引っ張る桐沢さん

『陽菜・・』

そう切なげに私の名前を呼んでぎゅっと抱き締められる

桐沢さんが庁舎でこういう事をしてくるのは珍しい

『桐沢さん?どうかしたんですか?』

『・・・・・・・・・・・・』

『桐沢さん?もしかして具合が悪いんじゃ??』

そう言って顔を覗き込もうとしたけど

桐沢さんが私を抱き締める力があまりにも強くて身動きが取れない

『桐沢さ・・ん・・?』

不安になって桐沢さんの名前を呼べば

『陽菜・・充電させろ』

『陽菜の声を聞きたくて、陽菜にこうして触れたかった・・』

『桐沢さん・・』

付き合うようになってこんな桐沢さんを見るのは初めてだった

『今日は・・早く帰れそうなんですか?』

『あぁ・・たぶん・・陽菜ありがとう少し充電できたよ』

『よかった、今日は早く帰って休んでくださいね』

『なぁ、陽菜』

『はい?』

『なんで部屋来ないんだ?』

『えっ?』

『せっかく渡した合鍵まだ一度も使ってないだろ?』

『う、うん・・でも桐沢さん仕事で忙しそうだし迷惑かなって・・』

桐沢さんは私を抱きしめてた腕を緩め
 
上から私の事をすごく寂しそうな目で見つめていた

『あの・・桐沢さん?』

『陽菜の優しい性格は知ってるし、そういう気遣いが出来る陽菜が好きだけどな・・』

『陽菜が待ってる部屋に帰りたいんだ』

『桐沢さん・・』

『お前に、待っていてほしい』

そっか・・私ずっと勘違いしてたんだ

私は桐沢さんが言ってくれた言葉でそう思った

『じゃあ、今日は仕事終わったら桐沢さんの部屋行ってもいいですか?』

『あぁ、俺の許可なんていらないだろ?』

そう言って私の唇に優しくて甘いキスを落として

大好きな人はさっきまでと違った笑顔を残して歩いて行った

残された私は不意にされたキスで胸も顔も熱くなっていた

こんな所でキスしてくるなんて・・

いつもとは違う桐沢さんを知れたこと

自分の優しさが少しだけずれてしまっていたこと

よし!今日は早く仕事を片付けて美味しいご飯を作って待ってよう!!

私は気合を入れて2課に戻って仕事にとりかかった
 
 
そして仕事が終わった私は桐沢さんの部屋を訪れた

(初めて使うの緊張するな・・)

『お邪魔しまーす』

そう言って桐沢さんの部屋に入る

何回かお邪魔した事はあるけど

こうやって一人で来るのは当たり前だけど初めてで・・

そろりと足を踏み入れて

いつも二人で座るソファに座った

(・・・・・・・・・・・・・)

(ど、どうしよう)

(落ち着かない・・)

(お部屋片付けた方がいいのかな?勝手にするのもよくないよね?)

(何か作って待ってようか・・って買い物でもしてくれば良かったな)

(冷蔵庫あけてもいいのかなぁ・・)

今まで付き合った男の人もいたけれど

合鍵をもらったのは初めてだからどうしていいのか分からない

そんなことを考えながらソファに座っていたらいつの間にかうとうとしてしまっていた・・
 
 
『陽菜?』

(あれ?誰か呼んでる・・この声・・)

(・・っ!??!!!)

『んっ・・』

『陽菜』

『えっ?うわぁ!!』

目の前には大好きな人の顏・・

唇には熱い吐息・・

『き、桐沢さん!!!』

『ただいま』

『おかえりなさい』

『お前、正座して眠るなんて器用だな』

『え?あ、ほんとだ』

(私、あのまま眠ってしまったんだ・・あーもうっ、初めて桐沢さんの部屋で待ってたのに)

自分のバカさに呆れて泣きそうだった・・

『ごめんなさい!!』

私は慌てて頭を下げた

『うおぅ、どうしたんだ?いきなり』

『せっかく初めて合鍵を使って桐沢さんのことを待ってたのに寝ちゃうなんて・・もう乙女失格です』

『乙女?誰がだ?』

『うぅ・・』

『ハハ、冗談だ それだけそういう関係ってことだろ?』

『でも・・』

『で、なんで正座なんかしてたんだ?』

『あ、えっと・・初めて一人で来たからどうしたらいいのか分からなくて』

『正座して色々考えてたんです』

『色々?』

『片付けしていいのかな?とかご飯作ってようかな?でも勝手にさわるのもよくないかな?』

『そんなこと考えてたら眠ってしまったみたいで・・ごめんなさいっ』

『お前可愛いなぁ』

『か、可愛い?』

『陽菜の好きにしていいんだぞ?今度お前の家から色々持ってこないとな』

『?』

『そ、その下着とか///』

『お、置いといてもいいんですか?////』

『今度の休みに色々買いに行くか』

『はいっ』
 
『あ、桐沢さんご飯食べてきましたか?わたし何か作ります』

そう言ってソファを立とうとする私の腕を引き寄せる

『うわぁ・・』

急にひっぱられて私は桐沢さんの膝の上に跨って座ってしまった

目の前には桐沢さんの顏・・

『今はお前が欲しい』

『桐沢さん・・っ』

桐沢さんの顔を見る形で膝に跨った私の腰をぐいっと引き寄せてキスをくれる

細く長いその指は私の体のラインをなぞるように動き回り

甘い声で囁く・・

『陽菜、お前を感じたい』

『っ・・私も・・桐沢さんのすべてを感じたいっ・・あっ・・んっ・・』
 
私は桐沢さんの首に腕を回して

桐沢さんの声と指と・・その全てを感じながら熱い夜にのみこまれていった・・
 
 
 
 
 
*+☆+*――*+☆+*――*+☆+*
 
桐沢さんの部屋の合鍵ほしいっ!!
 
 

陽菜love

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